【講演】電力の安定供給について(豊田東ロータリークラブ)
中部電力(株)豊田営業所長 永井 尚徳 様
中部電力豊田営業所の永井でございます。
まず、みなさま方には昨年・今年の夏は操業の変更や相当量の節電をお願いし、ご不便・ご迷惑をおかけしましたことをお詫び申しあげます。
おかげさまで、今年の夏の電力供給も無事に乗り切れる見通しでございます。
「毎日の需給見通しと予備率について」ですが、中部電力では夏の間、毎日午後6時に翌日の需給見通しを発表しています。発表する内容は、ピーク時の供給力、予想最大電力と予備率になります。他のエネルギーと異なり電気は貯めておくことができないことから、需要(電力消費量)と供給(発電量)を常に一致させる「同時同量」で需給のバランスを図っています。
では、需給のバランスが崩れた場合どのような事態になるのかについてお話しします。中部電力をはじめ西日本の電気は60ヘルツの周波数ですが、消費量が発電量を上回ると周波数が低下してしまいます。逆に消費量よりも発電量が多くなった場合には周波数が上昇してしまいます。発電量が足りなくなり、周波数の低下が進み一定レベルまで落ちると発電所の発電機は自動的に停止してしまいます。これにより需給バランスがさらに崩れ広範囲に影響が広がります。これが大規模停電、いわゆる「ブラックアウト」を引き起こす仕組みです。
さて次に、浜岡原子力発電所の地震・津波対策についてお話をさせていただきます。福島の事故をはじめこれまでに得られた知見を反映して、津波に対する安全性をより一層高めるための対策工事を現在進めています。また、発電所の敷地内への浸水を防ぐ対策および敷地内が浸水しても建屋内への浸水を防ぐ対策は、今年中に完了する予定です。また、冷やす機能を確保するための工事は来年中に完了する予定です。
長期的なエネルギー問題であるがゆえに、政府は拙速な判断をせず、十分な時間をかけて議論をしたうえで、方向性を決めたほうがよいのではないでしょうか。中部電力としては、必要な安全対策を徹底的にやりきることこそが浜岡原子力発電所の運転再開の大前提であると考えています。ご清聴ありがとうございました。