【講演】持続可能な工法によるシェルター建設(名古屋名駅ロータリークラブ)

20120912_nagoyameieki_1.JPG建築家 前田茂樹氏

バングラデシュはインドの東にあり、世界の中でも最貧国の一つと言われます。私とバングラデシュとの関わりは、2010年9月、SC I (サービス・シヴィル・インターナショナル本部:ベルギー)という100年以上の歴史がある国際NGO主催のコンペと出会ったことから始まりました。
ベンガル湾に面したバングラデシュ南部はサイクロン(台風)の通り道です。この地域は川の中州のような土地で、海抜0m の土地が広がっていて、サイクロンが来ると水に覆われます。2007年に大きなサイクロンが来た時には4,000名が亡くなりました。この時、ボランティアで現地に入ったSC I はサイクロンシェルターの数が全く足りていないことを知ります。今回シェルター建設を計画している大きな島には16,000名がいますが、8つしかサイクロンシェルターがなく、3,000名しか避難出来ません。
また、地区に病院がなく、一番近い病院まで船で6~7時間かかります。そういう状況を知り、SC Iでは2010年9月にサイクロンシェルター建設のコンペを開催することになりました。
このコンペの興味深いところは、単にシェルターを建設し提供するだけでなく、地域住民と一体となってプロジェクトを推進することにあります。コンペには12の国から35名(チーム)が参加し、一次審査で私を含め5名が選ばれましたが、一次審査で選ばれた5名は現地に行って地元の方と話をし、何が本当に足りないのかを肌で感じて、その後必要であればデザインをもう一度やり直すというものでした。現地に行くと、電気もガスも水道もない自給自足のような生活でしたが、子供たちの目はきらきらしていました。次にサイクロンが来た時、彼らはどこに逃げるのだろうと思うと、色々考えさせられました。視察の後、提案を少し変えて二次審査に提出し、最終的に最優秀に選んで頂きました。
サイクロンシェルターは、コンクリートで作ると頑丈ですが高価なので、住民自らが作ったり修理したり出来ません。将来的に彼ら自身が作っていける持続可能なシェルターが出来ないかと考え、1階はコンクリートですが、2階は現地でも自生している竹を構造材として利用出来ないかと考えました。現地に行った時にも竹を使った建設物を目にしました。世界各国でも竹で強い建築を作る研究が行われています。今日来て頂いた構造計算の専門家・鈴木先生と一緒に研究をさせて頂き、そういう工法を日本の技術で開発して提供出来れば、竹という身近な素材を使って、彼ら自身でシェルターや安全な住宅を持続的に作れるようになります。
サイクロンシェルターは、住民の方からの希望で、1階は教室、2階は医療センターとして使います。
医療センターが出来ると、周辺も含め80,000名が恩恵を受けられます。建設費用は、建築工事自体で5 5 0 万円と見積もっています。
是非ご協力頂きたく、お話をさせて頂きました。ご静聴ありがとうございました。
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LinkIcon詳しくは、名古屋名駅ロータリークラブまで