【講演】雅楽の調べ(碧南ロータリークラブ)


20121024_hekinan_1.JPG宿縁寺 若院 織田顕慶様

今、ご紹介頂きました宿縁寺の若院をやっております織田顕慶と申します。よろしくお願い致します。
一番有名なのは、東大寺の開龕(かいがん)式に、昔は天竺と言っていたインドから88人のバラモン僧と楽人が招かれて、盛大に開龕式を行ったと、日本書紀に載っております。その遡る事数十年前、天皇がお亡くなりになられた時に、悲しみの中、楽を吹かれたというのが載っております。
シルクロードをはさんで西にはオーケストラ、渡った東に音楽が伝わってきて、最初に高句麗や百済があった朝鮮半島に伝わってきた、右方(うのかた)という音楽が一つあります。右とは別に、中国、天竺(インド)、ベトナム、から来た唐楽を左方(さのかた)といって使い分けております。平安京は役職も左右、街も右京区、左京区に、雅楽も左右に分かれております。
楽器もいろいろありましたが、統一されたのが平安京の頃です。現在、雅楽で使っている笛が3本あります。浦安の舞で使用される神楽笛というのは別として、今日お持ちした笛で右と左がしっかり分かれているのが分かるかと思います。また、篳篥(ひちりき)というダブルリードの楽器も数種類あった中、日本で使っていけそうな楽器が1種類だけ残っています。あとは笙(しょう)という楽器の3本の笛があります。あと太鼓が3器と弦物が2つあり、雅楽を構成しております。いろんな音楽が基となって世界最古のオーケストラとして、現在世界中から注目されています。どうして他の国は絶えてしまったかといいますと、日本の場合は、日本の正当な音楽として国で守ってきたから1300年経ってもそのままの形で残っております。一つの地域、一つの団体で守っていこうと思っても中々大変ですが、日本は国全体で守ってきまして、戦国時代に公家が衰退しまして一時は絶えそうになりましたが、豊臣秀吉がこのままじゃいけないという事で復活させました。復活させたのは豊臣秀吉ですが、雅楽を演奏する際の
装束、幕に信長の家紋が並んでいます。そういった歴史の中、公家が衰退しまして、どうしていこうかといった時に、大阪、京都、奈良から楽士を江戸へ連れていきました。現在は宮内庁で、特別国家公務員として護持されてきております。
皆さんが使われている言葉で、「塩梅良く」や「やたらめったら」は雅楽用語で出来ております。「塩梅(あんばい)」とは、梅に塩と書いて「えんばい」が濁って「あんばい」になりました。「やたらめったら」ですが、雅楽の拍子の中に「やたら」という拍子がありますが、ただ拍子は2拍4拍で分けたら2拍ずつですが、この「やたら」は、2拍3拍で指揮者が手を振れない拍で何をやっているか分からない、というところから「やたらめったら」という言葉が発展していきました。「呂律(ろれつ)」という言葉も、元々は「ろりつ」といって律が何をやっているか分からない、というところから呂律がまわらない、という言葉に発展しました。また、「二の舞を踏む」という言葉も、一の舞をやった後に同じ事をやってもうまくいかない事を、二の舞を踏むという言葉に発展しています。
音色についてですが、右と左で一音ずつ違います。「竜笛(りゅうてき)」ですが、縦横無尽に天まで駆け巡る竜の鳴き声を表します。また、本日持ってはこなかった笙ですが、音が天井にあたって跳ね返ってくる、大変雅な音です。西の方にありますパイプオルガンですが、笙から発展してパイプオルガンが出来ております。また、朝鮮から伝わった「高麗笛(こまぶえ)」を用いたのは、舞楽しかありません。横笛は冬場はお湯で暖めないと竹で出来ておりますので、半音ぐらい下がってしまいます。
雅楽をやるにも音楽をある程度知っていないと中々出来ません。明治6年までは、一般に雅楽を吹いてはいけないという事になっておりました。明治撰定譜が打たれまして、その後一般に演奏出来るようになりました。昔から仏教とは非常に近い存在でありまして、現在では宮内庁から派遣され全国に演奏に行く、という形態をとっております。
「越天楽(えてんらく)」というのが一番知られているかと思いますが、本日はそれを演奏したいと思います。
笙は省かせて頂き、横笛と縦笛を演奏させて頂きましたが、このように雅楽は3管で構成されております。有名な、東儀秀樹さんも宮内庁の楽士をやっておりまして、いろんな音楽とコラボされています。
1個60円で笛を作れるわけですが、8年かかります。必ず音が出るものではないので、10個に1個か2個ぐらいです。趣味でないとできません。笙という楽器もとても高額で車1台分ぐらいの額です。演奏するまでにちゃんと暖めてあげないとすぐ錆びてしまう楽器ですので、中々不便な楽器です。
ではこれで「雅楽の調べ」を簡単ではございますが、終わらせて頂きます。ありがとうございました。

LinkIcon詳しくは、碧南ロータリークラブまで