2017年8月号
役に立つかもしれないシリーズ2(歯周病編)
医療法人 田口歯科医院 理事長 田口 望
今回は、「歯周病とその予防」について、お話をしたいと思います。
歯周病ってなに?
口の中には、約500 種類以上の細菌が存在しており、毎日普通に歯磨きをするヒトの口の中でさえ細菌数にすると数千億も存在しているといわれています。すなわち爪楊枝の先につく歯垢で数億もの細菌といわれています。口の中の細菌には、歯周病の原因となる歯周病菌の他、カンジダ菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、肺炎桿菌、インフルエンザ菌など、全身疾患の原因菌も含まれていて500 種類にも及びます、そして免疫力の低下とともに増殖し、肺炎・脳梗塞・心筋梗塞などの病気を引き起こすことがわかってきました。
口の中にいる歯周病原菌が,歯と歯茎の間から歯肉に入り,歯を支えている組織に炎症を起して,歯を支える歯槽骨という骨を溶かして、最後には歯がぐらぐらになって抜けてしまう病気を歯周病といいます(図1).かっては,歯槽膿漏と呼ばれていました。
すなわち歯周病は,口腔内の細菌感染症なのです。原因となる歯周病の細菌はPG 菌、AA 菌など十種類程度といわれ,歯周ポケットという歯と歯肉の隙間に潜む歯周病菌は自分だけではきれいにできません。歯医者さんに行って定期的に口腔ケアをすることが最も重要です。病気などにより全身状態が悪くなったり、免疫力が落ちたりすることによってその発生や進行が左右されます。
また唾液のもつ自浄作用によっても洗い流されますが、加齢によって唾液の分泌量が減ることで、さらに細菌が定着しやすくなります。
全身を襲う歯周病原菌の恐怖!!
歯周病菌が引き起こすと言われる疾患
⇒動脈硬化・心筋梗塞・狭心症・肺炎・脳血栓・脳梗塞・早産など
心筋梗塞を引き起こす歯周病原菌の一種、PG 菌は、炎症を起こした歯茎の血管から入り込み、血液中を流れるコレステロールを血管に付着させる力が強く、血栓を作り、動脈硬化を進行させる原因を生みます。なんと、歯周病患者が心筋梗塞を患う確率は通常の3 倍といわれています。
また、口の中の汚れ(歯垢)が多く付着していると、唾液中は細菌まみれとなり、チョットむせただけで、多くの細菌が肺の中に送り込まれ、高齢者で体力や抵抗力が落ちていると、誤嚥性肺炎を起こし死に至ることがあります。
今すぐ実行!歯周病の予防と対策
恐ろしい病気や早産を引き起こす可能性がある歯周病。しかしこの歯周病も早期発見で生活習慣を変えれば、防ぐことが出来ます!歯周病予防と対策:歯医者さんで定期的管理が一番重要です。
<セルフケアー自分自身で行う予防と対策>
*歯周病予防と対策その1:【ハミガキ】
歯の表面を磨くのは当然ですが、その狙いは、歯の表面ではなく、歯周ポケット周辺の歯垢を取り除くように努力して磨くことが重要です。
磨き方の実際は、図2のごとく歯ブラシをあて、細かく振動するようにみがくのが良い方法です。
*歯周病予防と対策その2 【うがい】
外出中で、歯磨きができないときなどは、食後・間食後にお茶やお水でブクブクうがいをするだけでも効果があります。とくに、加齢とともに、唾液の分泌量が減少し、口腔内の自浄作用が低下していますので、うがいをすることが予防対策となります。うがい薬があれば一番良いです。
*歯周病予防と対策その3 【良く噛む】
両側の歯で、しっかりとよく噛むことが重要です。片側でばかり噛んでいると、噛んでいる側の歯は、食物の接触で自浄作用を生じますが、噛んでいない側の歯は、歯垢がいっぱい付着し歯周病を悪化させます。一口30回噛むと良いとされています。良く噛むことで、唾液の分泌も促進します。
皆様、今日から歯周病予防の考え方を再認識し、実行していただければ幸いです。