24-25
ガバナー月信

最終号

2025.09.01

表紙

Governor’s Message

~ロータリーの「マジック」とともに過ごした日々~

3年前の出来事を鮮明に覚えています。クラブ会長を終え、もはや習慣となった例会出席を楽しみにし、クラブの仲間と食事をしたり、あちこちに出かけたりと、私なりのロータリーライフを楽しく過ごしていました。ある日、齊 藤清治さん(名古屋南ロータリークラブ ガバナー支援室長)からお誘いの電話を頂きました。おいしいお店に出かけるお誘いかと思い、例会前にお会いすることとなりました。約束の場所には故近藤雅夫さんをはじめ、クラブの重鎮が集まっておられ、偶然の出会いかと思いきや、なんと全員が同席され、その日が、その後3年半におよぶ地区ガバナーの始まりになるとは夢にも思いませんでした。

名古屋南ロータリークラブは創立以来、2名のガバナーを輩出しています。最初は1975-76年度(第360地区 愛知・長野72RC)の山田市三郎ガバナーです。
クラブ創立18年目にして初めてのガバナーが誕生しました。 『ロータリーの友』には「温容洒脱の人」と紹介され、稲沢の名家のご出身で、当時の中京相互銀行の頭取を務められた名士です。3年後の1979-80年度(第260地区 愛知・長野 78RC)には川瀬保ガバナーが就任され、『友情の人 親しみ深い兄貴分』と紹介されています。大同製鋼取締役、大同興業相談役を経て、大同学園理事長を務められました。私の現在の勤務先、社会医療法人宏潤会は、大同特殊鋼が戦前に設立し、長く運営してきた大同病院を母体としており、何か不思議なご縁を感じておりました。同じ号の『ロータリーの友』には故千宗室ロータリー財団理事長の若きお姿の写真も掲載されており、お二人が同期ガバナーだったとは驚きでした。もちろん、名古屋南ロータリークラブのパストガバナーお2人の華々しいご経歴とは比べものになりませんが、40年以上ガバナーを輩出していない中、ご指名を受ける決意をいたしました。

クラブ会長時代に幹事を務めていただいた片桐満氏が地区幹事を引き受けてくださり、筆頭地区副幹事に丸山和紀氏、地区事務長に津曲修一郎氏、地区監事に直前会長の藤田彰男氏を迎え、総勢21名のガバナースタッフ、そして名古屋南ロータリークラブの全員が一丸となり、いよいよガバナー活動がスタートを切りました。

その後の3年半は、それまでの生活が一変し、ロータリーとともにある日々を過ごしました。ガバナーエレクトとして2回の国内研修に参加し、2024年1月にはオーランドでの国際協議会に出席、ステファニー・A・アーチック会長から「Magic of Rotary」のメッセージを受け取りました。私自身がガバナーに就任すること自体がロータリーのマジックではないかとも思いましたが、それ以上に、各地域、国際社会での奉仕活動がまさにマジックであることを改めて理解しました。

今、世界は日本含め分断と紛争の真っ只中にあります。そんな中、世界中のロータリアンが友情と奉仕の精神で結ばれ、よいことを実現するために活動し、多くの成果を上げています。また、未来の多くの人々が互いの違いを認め合い、平和に暮らせる社会を築くため、様々な活動が行われていることも痛感しました。

ロータリーは1905年、ポール・ハリスが3人の仲間と設立しました。友情と信頼を育む集まりから、やがて社会奉仕団体へと発展し、100年以上継続する世界的な組織へと成長しました。アーチ・C・クランフが2ドル50セントの基金で始めたロータリー財団も、今やロータリー活動を支える大きな基盤です。

しかし次の100年に向け、ロータリーは変革の曲がり角にあります。世界中で会員数は増加から停滞、そして減少傾向にあり、課題は深刻です。 ロータリーの力の源泉は、世界中のクラブとそこに集う素晴らしい会員一人ひとりです。まさに会員増強はロータリーの最大の目標です。

2017年、国際ロータリーは次の100年に向け、ロータリーの理想像を示すビジョン声明を公表しました。 「Together」という冒頭の言葉に取り組むべき方向性が込められています。一人ではできないことも、皆で力を合わせれば大きなことができる。それは、一人ひとりにとって楽しさと活力をもたらします。2018年には5カ年計画として行動計画の4つの優先事項が示されました。
1.より大きなインパクトをもたらす
2.参加者の基盤を広げる
3.参加者の積極的な関わりを促す
4.適応力を高める

各クラブは、2016年の規定審議会で導入された会員種別・例会回数・形式・出席・メイクアップの柔軟性、2019年のローターアクトのRI正式メンバー化、クラブの柔軟性推進、職業分類緩和などを活かし、価値あるクラブへと成長を目指してきました。しかし、2024年の5カ年計画終了時点でも会員増加は叶わず、さらなる改革が求められました。元RI戦略委員会委員長であるステファニー・A・アーチック2024-25年度RI会長は、行動計画に基づき、クラブごとに具体的な数値目標を掲げ、これを3年間の計画としてMy Rotaryクラブセントラルに入力し、改革をさらに前進させることを示し、各地区には年間100名の純増と4つの新設クラブ設立の目標を掲げました。

第2760地区は全クラブが一致団結し、短期間で目標を入力くださいました。入力依頼から実施までの日数は限られていましたが、その重要性をご理解いただき、協力を賜りましたことに心より敬意と感謝を申し上げます。

実績はどうだったでしょうか。2024-25年度地区内のロータリークラブは411名の新会員を迎え、376名が退会。ローターアクトクラブは37名が入会し、41名が退会。RCとRACの合計では25名の純増にとどまりました。純増100名には届きませんでした が、近年続いていた期首比での会員数減少に歯止めがかかったことは、嬉しい前進です。また、新たに名古屋名駅椿ロータリー衛星クラブが名古屋名駅ロータリークラブをスポンサークラブとして設立され、今後の新クラブ設立に拍車がかかることを期待しています。

2025-26年度は、行動計画に基づく3年計画の2年目。鈴木康仁ガバナーのもと、各クラブ会長とのサポートミーティングが行われ、直接対話を通じてより一層のクラブ成長が期待されます。
当地区からのさらなる「Action」を心より期待しております

2024-25年度地区便覧の活動方針をふりかえってみました。

1.クラブ
ガバナー訪問に先立ち、各分区のガバナー補佐訪問を実施しました。南尾張分区 山本さゆりガバナー補佐、西尾張分区 水谷豊ガバナー補佐、東尾張分区 日野典子ガバナー補佐、西名古屋分区 藤田守彦ガバナー補佐、東名古屋分区 中山信義ガバナー補佐、東三河分区 安田幸雄ガバナー補佐、西三河中分区 野田清衛ガバナー補佐、西三河分区 𠮷原孝彦ガバナー補佐、そして各分区幹事の皆様には、2023年から複数回にわたる次期ガバナー補佐研修会議を通じ、しっかりと情報共有を行っていただきました。ガバナー補佐訪問では、それぞれ分区内のクラブを訪問し、ガバナースタッフと共にクラブアッセンブリーを開催、クラブの活動計画などを話し合っていただきました。ガバナー1人では対応できないきめ細かな支援を担ってくださいました。ガバナー補佐の方々にはそれぞれの分ださいました。区での会長幹事会、IM、RFFなど一年を通じて大変素晴らしいご活躍に敬意を表します。
続くガバナー訪問では、特色と多様性にあふれる84クラブの活動を拝見させていただき、当地区の力強いロータリー活動の源泉を改めて知ることができました。各クラブでは4つの優先事項に沿った戦略計画を立案、My Rotaryクラブセントラルへの数値 泉を改めて知ることができました。各クラブでは4つの優先事項に沿った戦略計画目標入力にご協力いただきました。

2.新たな形態のクラブを創設しましょう
木所壮太会員増強委員長をはじめ委員の皆様には2回にわたる会員増強セミナーで具体的な会員増強のノウハウを大変わかりやすく示していただきました。衛星クラブの設立にむけて活発な広報活動を行っていただきました。神野重行拡大委員長の指導力 で名古屋名駅椿ロータリー衛星クラブが創設されました。引き続き衛星クラブをはじめロータリーの中核的価値を大切にして、新たに奉仕の精神に満ちあふれた方々を仲間にしましょう。

3.ポリオプラスに貢献しましょう
年間を通してポリオプラスに対する様々な活動を展開していただきました。2024年10月24日にはエンドポリオチャリティーゴルフコンペが大勢の参加者のもと、盛大に開催されました。地区大会、財団セミナー、地区・研修協議会など大きな地区イベントでのポリオプラスの募金活動にも積極的にご協力いただきました。2025年5月のロータリーフードフェスティバル(RFF)では全分区から出店していただき、ローターアクト、インターアクト、米山奨学生、青少年交換学生をはじめ、全てのロータリーファミリーが積極的に参加していただきました。多くの一般参加者共々楽しい時間を過ごすことが出来ました。結果としてポリオのファンドレイジングに大きな成果を上げることができました。伊藤靖祐RFF実行委員長、長瀬輝代之、佐々木利政、江川泰彦各副委員長の皆様をはじめ、委員の方々には1年以上にわたりご準備いただきました。あらためて敬意を表します。

4.ロータリー財団が自分たちのものであることを忘れない
髙山景一地区ロータリー財団委員長を中心に活動いただきました。加藤陽一資金管理委員長、宮田勇人資金推進委員長、藤野直子補助金委員長、田中一成ポリオプラス/職業研修チーム委員長、長瀬廣幸グローバル奨学生・平和フェロー委員長の各小委員 会はまさにロータリー奉仕活動の原動力となる活動を行っていただきました。財団卓話を通じて「財団は私たち自身のものである」という意識を浸透させました。多くのクラブが地区補助金を活用した奉仕活動に参加し、年次基金1人165.15ドル、ポリオプラス49.79ドルで目標を達成。6月末には恒久基金を含め総額1,034,002.32ドルと、前年を上回る寛大なご寄付を頂き、3年先の奉仕活動の原資として期待が高まります。

5.平和構築への貢献
ロータリーは平和を基盤として存続する組織です。どんな世の中であっても将来の平和な社会があることを諦めてはいけません。未来の平和を託すための人材育成に大きな貢献をしています。当地区では、グローバル奨学生・平和フェロー委員会を中心に、6月末までに3名の奨学生の申請を行いました。石川佳瑛さんは教育格差の是正を目指しコロンビア大学教育大学院へ、岸田玲奈さんは貧困と格差の是正を目指しパリ経済学校修士課程へ、神谷美咲さんは安全なサイバー空間の実現を目指しジョンズホプキンズ大学高等国際問題大学院で研究予定です。将来必ず世界の平和構築に大きく貢献いただけるものと確信しております。

6.米山記念奨学生
神谷恵理米山記念奨学委員長をはじめ委員の方々には、年間を通して我が国独自の奨学金制度のため活発な活動を行っていただいています。当地区は全国的にも多くの米山記念奨学生に支援しており、我が国のよりよい理解のもと、将来のそれぞれの国同 士の親善の架け橋となる人材育成に邁進していただきました。

7.ローターアクトクラブ
山田康二ローターアクト委員長をはじめ委員の方々には、多様性に富んだローターアクトクラブのそれぞれの活動にそってきめ細かく支援していただきました。ローターアクトクラブがRIの正式メンバーとなりましたが、まだまだ未解決の問題が山積しています。原瀬功多地区ローターアクト代表はロータリークラブとローターアクトクラブの新たな関係性構築に積極的に関わっていただきました。ローターアクトクラブがしっかりと自立して活発な奉仕活動が行えるよう今後も引き続きご協力下さい。

8.ロータリーの奉仕活動
長瀬輝代之地区ロータリー奉仕委員長率いる委員会は、ロータリー活動の中心をなす全ての奉仕活動を管轄いただきました。加藤久雄社会奉仕員長、鬼頭秀幸職業奉仕委員長、渡邉寿也国際奉仕委員長、三城偉央インターアクト委員長、山田康二ロー ターアクト委員長、大谷忠幸RYLA委員長、加藤謙一青少年交換委員長、金山明史学友委員長とともに活動いただきました。加藤久雄社会奉仕委員長はじめ委員会メンバーにとって今年は多忙な一年でした。2025年4月には200名近くのインターアクト、ロー ターアクト、青少年交換学生など多くのロータリーファミリーを率いて佐久島クリーン大作戦を展開しました。環境保全の重要性を皆さんとともに大いに学ぶ事が出来ました。5月のRFFでの抽選会は昨年度に引き続いてフェスティバルを大いに盛り上げていただきました。鬼頭秀幸職業奉仕委員長を始め委員の方々にはロータリーの大切な職業倫理規範である「4つのテスト」を改めて認識させていただく活動を展開していただきました。まさにロータリーの原点にもどって再認識させていただきました。渡邉寿也国際奉仕委員長は様々な形の国際奉仕活動を地区内に広めていただき、地区の国際奉仕活動の充実の基礎固めをいただきました。加藤謙一地区青少年交換委員長はじめ、委員の皆様は青少年交換事業を積極的に推進。1年間を通じ、世界各地との派遣、受入に「超我の奉仕」の精神で取り組まれました。大谷忠幸RYLA委員長とRYLA学友の皆様によるRYLAセミナーは、まさに全国に誇れる活動となりました。

9.ラーニングセンターで自己学習を行いましょう
ロータリーメンバーの学びは知識を教えることから、自分自身で学ぶラーニングへと転換しています。沓名俊裕地区ラーニングファシリテーター、篭橋美久ロータリーリーダーシップ研究会(RLI)地区代表委員のご指導の下、照井栞地区ラーニング委員長を 始め多くのラーニングファシリテーターの方々に活動して頂きました。当地区では従来から会長エレクト研修にRLI方式を採用し、まさにファシリテーションによる学びを実践していただいています。さらにMy Rotaryのラーニングセンターの積極的活用を始め、クラブ活性化セミナー、新会員研修、地区研修・協議会など多くの学びの場にラーニングファシリテーターのメンバーを派遣頂き、ロータリアンの学びを支援いただきました。

10.ロータリーブランドを大切にして下さい
古市晃久公共イメージ向上委員長を始め委員の方々には、報道機関へのロータリー情報の提供、ロータリーブランドの正しい使用方法など知名度向上に貢献いただきました。

11.カルガリーでの国際大会にこぞって参加しよう
2024-25年度国際大会には地区内の多くの会員、パートナーの皆様にご参加いただきました。国際大会は多くの知人との再会、新たな出会いの場です。私自身が開会式のフラッグセレモニーで旗手を務めたことは思いがけず貴重な経験でした。第2760地区カルガリーナイト(ガバナーナイト)には100名を超える皆様が集い、楽しいひとときを過ごしました。

12.危機管理委員会
大見宏危機管理委員長の出番となるような危機が起きず、安心しました。今後も国際ロータリーの「ゼロ容認」の姿勢へのご理解とご協力をお願いいたします。

13.防災対策委員会
伊藤満琉委員長を始め委員の方々には、地区役員など災害発生時に緊急連絡を取るための緊急連絡支援システムを導入していただきました。幸い当地区では実際に使用する災害は発生しませんでしたが、国内、国外とも大きな災害が後を絶ちません。2025年2月に発生した大船渡大規模山林火災は、東日本大震災の津波被害で高台に家を移転した方々を始め多くの被害を出しました。2520地区の2024-25年度佐藤剛ガバナーからの支援要請にこたえて地区内の多くのクラブから多額の支援金をお送りすることができました。また2025年3月28日にミャンマー中部でマグニチュード7.7の大地震が発生し、甚大な被害が報道されました。ガバナー会として隣国であるタイの3350地区の要請に応える形で「日・タイ共同 ミャンマー復興支援」に寄贈することとなりました。この基金を通してミャンマーへの支援を継続的におこなっていただいており、当地区の貴重な支援金はガバナー会を経由してタイの基金へ寄贈しております。改めて地区内の各クラブの温かな支援に感謝申し上げます。

14.愛知ロータリー学友会
金山明史学友委員長のもと、RIから正式に認証を受けた学友会を「ロータリーの基盤を広げる」ために基礎固めをしていただきました。

最後に
改めて3年以上にわたってガバナー活動のすべての準備をしていただいた片桐満地区幹事を始め、すべてのガバナースタッフ、ガバナー事務所の梶浦夏代さん、濱田美保子さん、田近明子さん、落合由理菜さんに深く感謝申し上げます。一人では何も出来ませんが、ともに活動することで成し遂げられることも多いことを改めて認識しました。
Act Together!

国際ロータリー第2760 地区
2024-25年度
ガバナー
名古屋南ロータリークラブ所属