2019年3月1日
2019年3月1日
奉仕と親睦について考える
今回は奉仕と親睦について考えてみる。
よく奉仕と親睦はどちらが優先ということではなく車の両輪だという方がおられる。また、それは二輪車の前輪と後輪で、前輪が奉仕で進むべく方向を示し、そのエネルギーは後輪の親睦によって推進力を与える、と言われる方もおられる。
それぞれ、この短い言葉だけで表せない意味合いがあるので、どちらがどうという話をするつもりはないので、ここではロータリーの歴史から考えてみたい。
ロータリーはご承知の通り、1900年ポールハリスによりシカゴで生まれた、当初は明らかに社交クラブであって、親睦と信頼できる取引が強調された。人生上、取引上で信頼できる仲間を作ることであった。その後、ドナルドカーターやアーサーフレデリック・シェルドンらが加わり、奉仕の概念が出来上がってきた。
と言うことは、まずは親睦が先である、と考えてはどうだろうと思う。
伊丹RCの故深川純一PGは、当地区の講演で次のように言われた。『原始、音楽は太鼓などのリズムから生まれ、その後メロディがついた』この話はロータリーでは、まずは親睦があって、その後奉仕がついてきたということの説明であったので、私にはわかりやすい話であった。
ではどのように親睦から奉仕に進めて行けばよいかと言うことを考えてみる。
奉仕をするということは、自分が高潔な人になり、思いやりの心で職業を営まなくてはならない。そして同じ心を持つ人が集まってクラブとして奉仕の活動をしなくてはならない。しかし、いきなり人と人が出会ってもすぐに奉仕活動には進めにくい。そこで親睦活動を通じてお互いの仲間意識を強くしていかなくてはならない。
ここで親睦活動と表現したが、研修委員会では『親睦と親睦活動はどう違うか』という設問を良く行っている。親睦活動は、ゴルフ・麻雀・旅行・カラオケ・コーラスなどの共通の趣味の方が集まって活動することである。一方親睦(Fellowship)は仲間づくりである。親睦活動は仲間づくりの一つの手段であると、研修委員会の見解である。
ロータリーの目的の奨励項目の第1に『知り合いを広めることによって、奉仕の機会とすること』と書いてある。知り合いを広めるとは、何人名刺交換したかでなく、奉仕の仲間を作ったか、と解釈したい。まずは仲間づくりと言うことであろう。
クラブの運営からこのことを考えてみる。設立時はまず親睦活動を重視し仲良くなることであり、例会の出席率を上げることである。そしてクラブの会員として、どのような奉仕があるか、どのような奉仕が出来るかをしっかり学び考えて、活動していただきたい。
ロータリーの活動目的は、親睦活動ではなく奉仕活動であるのだから。
さて、同好会が盛んなクラブがあるが、同好会の参加のためにクラブの会員となったような方はいないだろか。同好会の行事は出るが、奉仕活動には参加しないという方はいないだろうか。例会に出てきても、次の同好会の案内の相談ばかりと言う会員はいないだろうか。
同好会の活発な活動を否定するつもりは全くない。仲良くすることが重要だとの考えであるから当然である。言いたいことは親睦活動の目的は、奉仕活動の為の仲間づくりと、仲間と接することで養われる奉仕活動の為の自己研鑽であると思う。
会員の多様性という考えがあるので、奉仕が命の会員もいれば、親睦が命の会員がおられても、それはそれでよいと思う。ただしバランスがとれているということが大切で、クラブの活動方針がどのようになっているかである。
それはクラブ会長のリーダーシップが問われる課題でもあると思っている。
RID2760 2018-19 ガバナー 村井總一郎