2019年3月1日
2019年3月1日
S.A.A.について考える
クラブには必ずS.A.A.(以下SAA)と呼ばれる役職の方がおられる。Sergeant-at-Armsの略記で会場監督と言う日本語訳となっている。中世のヨーロッパの議場や宮廷で秩序を維持し、施設の管理を統括する高官である。この役職は1906年にはシカゴクラブにはすでにこの役職があったそうだが、どのような権限と役割であったのか、私は知っていない。
SAAは役職名であるので、委員会名とするのは好ましくない、といわれる。好ましくないというよりは間違いである。ガバナー公式訪問でもSAA委員会とされていたクラブには、次年度より訂正をお願いしておいた。副SAAとかSAA補佐という役職は問題ないと思う。
ロータリークラブにおいて、SAAというとほとんどのクラブで、進行役(司会)をされている。ニコボックスや食事メニュー、例会の曲名などを担当されているクラブも多い。
施設の管理と言うことなら、空調やマイクの音量なども担当であろう。しかし、多くのクラブでは進行役となっている。
私語に対しての注意喚起や早退者や遅刻者の入退出の拒否という役割をされているクラブはあまり見かけない。またスピーチが長いからと、ストップをかける役割もあり、例会場の中で一番の権限を持つ人となっていると聞いたことがある。
こう書くと進行係以外もSAAの仕事なのか、と思う会員もいるだろう。しかし私が入会したときには、このような権限があるのがSAAだと教えられた。まさか会長の話が長いからといって、もうやめろと言うSAAなどいるのかなと思っていたが、いまだその場面に出くわしていない。語源からするとその権限も昔はあったのであろうし、それがゆえに会長経験者がSAAをするのが望ましいとも言われている。
私は複数回SAAを務めたことがあるが、初めてSAAの役職を受ける時、先輩SAAから、SAAは例会で必要な食事の数を把握しろ、2週にわたって似たようなメニューにならないか気を配れ、SAAは出席者全員に食事が行き渡ったのを確認してから、最後に食事をするものだ、と言われた。
私が入会時のクラブのSAAが『飯炊き当番と思っていたが、米国に行ったらSAAはとても尊敬される役職だった』と話されているのを聞いたことがある。まぁ飯炊き当番とは戦争を体験した人の口から出たのかも知れないが、会場監督の一つの役割であろう。
私がSAAを初めて受けた時に、そのことを覚えていて、洒落のつもりで『給食係りを拝命しました』とやったら、先輩会員からすぐにお叱りを頂いた。
豊橋RCや蒲郡RCでは良い例会とするための条件としてgood meal , good speech , good atmosphere と言われることが多い。この良い食事、良い卓話、良い雰囲気を会場監督として取り仕切ること、これぞSAAの重要な役割であろうと思う。そして、思いやりの心としてのクラブ奉仕の神髄がこの言葉の中にあると思う。すべての人に満足を、と言うわけではないが、お互いが思いやる心で例会の食事や卓話を楽しみながら、クラブの例会の雰囲気を素晴らしいものにしていって欲しいものである。
豊橋RCには伝統的なSAAコスチュームがあり、木刀を腰に差し、錫杖を持つスタイルである。常にこの格好ではなく、ガバナー公式訪問や特別な例会の時に着用する。当地区がホストした地区大会では、SAAがこの格好で会員をお迎えした。皆さんとても驚かれた様子であったとのことであった。
さらに、豊橋RCには『SAA奥義』と言う巻物があり、SAAの威厳と役どころを記したもので、例会で先ほどのコスチュームのSAAによって、時々披露されるが、ここ数年、私は聞いてはいない。門外不出なのか確かめてはいないのでここでは、その内容の開示を避けることにする。
格好は別にして、皆が気持ちよく過ごせる例会運営のカギは、SAAの配慮によるところが大きいのでは、と私は常に思っている。
RID2760 2018-19 ガバナー 村井總一郎