2019年5月1日
2019年5月1日
四つのテスト について考える
国際ロータリーの大きな方向性の変化の中で、中核的価値観やビジョン声明などの解説が多くなってきている。職業奉仕という概念が薄くなってきていることは、今までに書いてきた。職業奉仕を学ぶことは倫理観を養うことになり、その根幹には四つのテストがあると私は教わってきた。 今回は、日本国内のロータリークラブで、今なおロータリアンの意識に深く根差している「四つのテスト」について考えてみる。
28年前に私がロータリークラブに入会した時に比べると、四つのテストの唱和をするクラブや、四つのテストの歌を歌うクラブが増えたように思う。事実、新しくできたクラブでは唱和するところが多いし、四つのテストを掲示しているクラブも多くなっている。 地区の職業奉仕委員会の方が、各クラブの職業奉仕委員長さんが集まるクラブ委員長会議で職業奉仕月間の活動の一つとして、四つのテストの唱和をお願いすることを続けてこられたことも大いに影響をしていると思う。 さらに地区の職業奉仕委員会が委員長会議において行うアンケートでも、四つのテストを唱和するクラブが増えてきている。しかし、創立年度の古いクラブの方が、歌も唱和もされていない傾向はあるようだ。
この四つのテストは、ロータリアンとしてしっかり理解する必要があると思う。かつては、四つのテストを空で言いやすいように、その頭文字をとれば「し・み・こ・み」となっているので、頭に浸み込ませてくださいとお願いしていた時期もあったが、今は歌のおかげなのか、かなりの人が暗唱できると私は思っている。
さて四つのテスト内容であるが、その成り立ちや言葉の意味合いは、書籍や講演集、ネット掲載など多くの解説があるので、そちらを参考にしていただければよいと思う。 数年前に私の書いた小冊子「超入門 職業奉仕の入り口」の内容も参考にしていたければうれしく思う。そこには、あくまでも四つのテストは職業奉仕として、企業倫理について考えてみることから始めるのが良いと書いておいた。
ロータリアンとしての高潔性と四つのテストを結びつけて欲しいとは、私は思っていない。また、クラブの奉仕事業の基礎にこのことを置くことが重要とも考えていない。あくまでも、ロータリアン個人がおこなう事業の倫理として、必要だと考えている。
この四つのテストは、まず真実かどうかを問いかけている。私はこのことはとても重要であると考えている。それを踏まえて2つ目以降の、みんなに公平か・好意と友情を深めるか・みんなのためになるかどうか、これらはすべて行動の影響について問いかけているのではないだろうか。
言い換えると、1つ目の真実かどうかは、私にはすべてにおける大前提のように思える、ということである。これは嘘や偽りはないか、ということを問いかけているのであるが、要は「真ですか」との問いかけだと私は考えている。
すべからく、真(誠でもよい)でなければ、大義が立たない、大義がなければ周りの人に理解してもらえないし、協力が得られないことになる。これは職業の上であっても、社会奉仕活動の上でも、重要だと思う。 つまりは、自分の利益のため、自己満足のためにやっているのではなく、多くの人に利益をもたらせるかどうかであると思う。さらに言えば、個人の損得勘定を入れるのは、もってのほかである。とかく自分が可愛いのが人間であるが、ロータリアンとしては超我の奉仕で活動すべきであると思う。
私は真実ということが嘘でないことということだけでなく、損得よりも善悪での判断ができているかどうかということも、真実かどうかの根幹にあるとも思っている。
RID2760 2018-19 ガバナー 村井總一郎