大きな行為はもちろんですが、小さな行為にも人の人生を変える力があることを、忘れずにいたいものです。
ポンと肩をたたいてあげたり、励ましの言葉をかけてあげたり、時には微笑みを投げかけるだけで、相手に笑顔
をもたらすことができるのです。こちらが笑えば、周囲が共に笑ってくれます。私たちの年度の目標に加えてさ
らにもう一つ、来る年度を笑いと喜びと幸せの年度にしてまいりましょう。ロータリアンも配偶者も含め、皆が、
1日3回は笑顔を交わすようにしましょう。そうすれば、一日800万の笑顔をもたらす計算になります。たとえ偉業
を成し遂げることがかなわないにしても、大きな愛をもって小さな善を行うことなら、いつでもできるはずです。
ロータリアンとは、ロータリーの奉仕を通して理想を形にする現実的な理想主義者であると、私は考えます。私
たちは「四つのテスト」を拠り所として、友情と親善を分かち合い、あらゆる人の中に真の価値を見出しながら、
倫理的に、誠実に生きようと努めています。ロータリアンは並のことには満足しません。なぜならロータリーは
非凡な組織だからです。私たちが自分自身を高めることによって、世界を高めようと取り組むのは、このためな
のです。
ですから、改善できること、変えるべきこと、始めるべきことに目を向けましょう。こうした事実を勇気をも
って見据え、変えるべきことは何かを見定め、行動していかなければなりません。私たちは皆、ロータリーを通
じて世界を変えたいと望んでいます。ロータリアンとなった理由は、まさにこれに尽きるのではないでしょうか。
過去よりも明るい未来を築くことができると、私たちは信じています。私は、マハトマ・ガンジーの「世界の変
化を望むなら、あなた自身がその変化にならなければならない」という言葉が好きです。
2011-12年度の第三の強調事項を「変化」としたのは、このためです。世界に望んでいる変化に、まず私たち自
身がなることです。平和を望むなら、家庭に、地域社会に、自分自身の生活に平和をもたらすことから始めるのです。
環境破壊に歯止めをかけ、子供の死亡率を減らし、飢えを減らしたいと望むなら、自分自身がこの変化の担い手
とならなければなりません。それにはまず、自分自身の中にこそ変化を起こすことの必要性を認識しなければな
らないのです。
変化をもたらすには、常識の枠を超えて考える必要があります。私たちと同じような活動をしている団体と協
力し合う可能性を探る必要があります。私は、ロータリーと国連が共生関係にあると考えることがあります。ミ
レニアム開発目標に協力して地域社会のニーズに応えることによって、この関係をさらに発展させることができ
ます。また、ロータリアン行動グループも頼もしい存在です。安全な水、マイクロクレジット、エイズ予防、識
字などの分野で、承認されて間もないながらも、既に実績を備えたグループが、能率的かつ効率的に奉仕するた
めのロータリーのリソースをさらに補強してくれることでしょう。
これまでと同じく、次年度にも力を入れる必要のある目標分野は、二つあります。一つ目は、ロータリーの活
動を担う新しい会員を増やすことです。ユーチューブやフェイスブックに精通した、今世代の若く新しい会員の
勧誘に焦点を当てるべき時は、もうとっくに到来しているのです。彼らは誘われるのを待っています。ですから、
彼らに扉を開いてあげなくてはなりません。世界のあちらこちらで、少しずつこのような受け入れ体制が整い始
めています。しかし、ロータリー独自のネットワークをますます広げるには、世界中でこれを実行する必要があ
ります。私が申し上げたような変化に力を注ぐなら、結果は必ずついてくるはずです。
もう一つ力を入れるべき分野は、世界にロータリーの物語を巧みに語り伝えることです。こんなに良い仕事を
しているのだから、世界が見てくれているはずだと、私たちは思い込んでしまいがちです。しかし、大抵、世界
はロータリーの活躍に気づいていません。エバンストンの国際ロータリー本部から百メートル程度のところにい
る学識ある人々ですら、「ロータリーって何ですか」と言うありさまです。ですから、私たちは、現代的で独創
性にあふれ、よく練られた方法で、ロータリーの物語を世界に伝える必要があるのです。新聞や雑誌には暗いニ
ュースの記事ばかりがあふれています。ですから、私たちが心温まる話を語らなければなりません。国や地域に
よって、伝え方は異なるかもしれませんが、私たちには語るに値する話があるのですから、それを伝える必要が
あるのです。