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名古屋東RC 田中 徹弥 (有限会社 セントラルパックス 取締役社長) |
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名古屋東ロータリークラブ卓話でカラスのあれこれを話し始めたのは、十一年前平成六年九月五日でした。 昭和四十八年頃、小生の父は藤岡カントリークラブでプレーする毎に、ゴルフ場に棲んでいる野生のリスに餌場を決めて、ヒマワリの実、クルミなどを持参し与えてリスが可愛い仕草で食べるのを見て目を細めていました。昭和五十一年父の没後、小生が替わって餌を与えるようになりました。 「折角餌をあげても、カラスが盗んでいますよ。」 キャディさんに告げられたその日からカラスとの付き合いが始まりました。かれこれ三十年弱にもなるわけです。「なにっ・・・・カラスが・・・・・・?」と絶句し、頭の中はカラス一色になったと言っても、カラスは真っ黒ですから色は無かった筈です。何色だか覚えてはおりません。 それからというものは、何とかカラスを退治する方法は無いものかと、寝てはカラスの夢、起きてはうつつカラス、カラスの事ばかり、東京都知事石原慎太郎氏が三年前より始めた「東京都カラス対策室」(1)等という大がかりな組織は日本中は勿論世界中でも無かった筈です。ですから細々とした手探りでした。 追い払う工夫に録音機にカラスの警戒心を誘うカラス語をレコードして、あの広いゴルフ場に小型手持ち拡声器でカラスの群れにボリュームを一杯にし音を流しても「アホー」と鳴かれるだけ、三井物産発売の磁石付きカラス撃退器とか、無数のカラス撃退グッズも試しました。 |
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![]() 1 東京都カラス対策プロジェクトホームページ。 クリックすると別ウインドウで表示。 |
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その頃関東のあるゴルフ場では、カラスの悪戯に耐えかねて、カラスを吊し首にして竹竿にぶら下げ、これ見よがしにカラスを脅しているのを見ましたが、気持ちの良いもではありませんでした。 数年は瞬く間に過ぎ、やっと捕まえてやろうと考えつき、鉄棒製の大型犬用檻を利用し、雀捕りの要領で入り口より中にカラスが入ればバタンと閉まるなどと予想して一人悦に入ったものでした。デパートで三台ほど買い入れ改造し、餌を入れてゴルフ場にお願いして分散して設置しました。 二、三ヶ月待った頃NHKラジオが「これぞ究極のカラス捕り」と称する静岡県湖西市のゴミ処理場での捕獲の有様を放送しました。その時は躍り上がり「これだっ」と手を打ちました。何せ設置した檻には入居カラスは0羽ですし、費用は優に二十万円を超える損害でしたから。 早速に湖西市の処理場現場に確認すると、「囮はいるか」との思いもよらぬ話に困惑すると、囮を分けるし現場の仕掛けを見せてくれると言う話になり、藤岡カントリークラブよりライトバンとドライバーA君の提供を受け、喜び勇んで湖西市に出向きました。 さて現場に着くと係員は囮の準備をしてくれるのですが、囮は一羽より二羽以上持って行くが良いと言ってくれるのですが、持参した段ボール箱は二個しか無いので貴重な二羽を分けて貰いました。この処理場でも最初の囮は富士市の処理場で分けて貰ったそうです。 湖西市の捕獲器は現在東京都が使用してるものと全く同一(2)(3)(4)で、おそらくこの形が最適なものとなったのでしょう。添付図の如く四メートル×三メートル高さ二メートル、四方を金網で覆い、上部にカラスが入れる空間が空けてある木製の手作り、じっくりと見学しました。因みに先日東京都のカラス対策室に製作費用を尋ねたところ、間伐材を使用し設置費用を含め一基約四十万円との事でした。現在地方の自治体でもカラス退治にこの究極のカラス捕獲器を設置したいと希望はあるのですが、この費用を聞いてため息をついているそうです。 |
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![]() 2 東京都カラス捕獲わな |
![]() 3 捕獲わな(クリックで拡大) |
![]() 4 捕獲わな断面(クリックで拡大) |
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さて翻って我が藤岡カントリー内の捕獲器はいかにと言うと,図の写真に見る如くコース内十三番スタート横にある休憩小屋(5)が舞台となりました。三メートル四方窓付きです。この小屋を選んだのは、小生の勘によります。添付写真の人物の左手を添えている窓枠が肝心なところ(5)この小屋は当時コース作業員が休憩時用に菓子などを置いていたそうで、目ざといカラスがそれに気づき中へ入ろうとして毎日こつこつと嘴で窓枠を突っついて、窓枠がすり減っているとキャディさんが言うのです。ならば入る気があるならば、窓をあけてやれば良いわけで、中に檻に入れた囮のカラスがいれば上々、入ったら逃げられぬように針金トラップを天井から下げておくというのが作戦でした。この構図は湖西市の捕獲器や現在の東京都の捕獲器と原理的には一緒の筈と小生は今でも考えを変えていません。 |
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![]() 5 藤岡カントリークラブ小屋 |
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![]() ─湖西市よりの帰り道─ さて囮を分けて貰った二人は意気揚々とおカラス様をお供に熱い日盛りの中を浜名湖を見ながら昼食などに休憩し、一路高速道路に入りました。高速道路に入って間もなく、荷台のカラスが静かになっているのに気づき、逃げたのではないかと慌ててパーキングに停車し、そっと段ボールの中を見ると二羽共白目をむいているのです。熱中症です。浜名湖で一服し冷房を止めたのがいけなかったのでしょう。これは大変と松の木の涼しい根方にそっとおいて見ましたが、動きません。驚きました。彼等の回復を信じ、祈り、二人は高速道路を一目散に名古屋に逃げ帰りました。あの二羽はきっと回復してくれたと今でも祈る気持ちでおります。 A君は熱心にカラスを研究し、カラスの文献などを読んでいました。カラスの怖さもよく知っていました。彼はその日から熱を出し一週間程勤めを休んだそうです。 (以下続く) 囮の居ない小屋はそれから… |
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