米山奨学生としての10年
私とロータリー
米山学友会(愛知)幹事 コン・ティリ
私とロータリーとのお付き合いは、ちょうど10年前の2000年の春からでした。岡崎東ロータリークラブにお世話になり、2年間の米山奨学生として名古屋大学大学院で学習生活を送りました。2002年の春に名古屋大学法政国際教育協力研究センターに就職し、アジアにおける体制移行国の法と政治改革について研究してまいりました。
カンボジア、ベトナム、中国、ラオスなどでは20年余りの改革を経て、数多くの新しい立法やルールも生まれてきました。しかし、実際に新しい制度の運営や整備には多くの問を抱え、改革の成果が必ずしも予定通り順調に進行している訳ではありません。
特にインドシナ3国の場合には、改革が遅れる原因の一つとして適宜な人材が欠けていることがあげられます。
この問題を解決するためには、それらの国に人材育成を制度改革の主要な課題として取り扱わなければなりません。私は近年カンボジア人研究者や実務家と共にカンボジア比較法学会という学会組織を立ち上げ、日本・欧米および他のアジア諸国の法学者と共同で研究会を定期に開き、相互に意見交換や学術交流を深め、カンボジアで作られてきた法・司法制度の発展のための新しい国際協力体制の構築に努力しています。
これらの事業を長期的に継続することにより、研究・教育・改革という3大目標の発展が可能となるほか、専門家同士の国際協力の舞台を強化し、カンボジ国内のみならず、多国間の法・司法分野における「知的共有」を促すことも期待できます。
振り返ってみれば、米山奨学生になってから今日まで10年余りを過ごしました。その間、日本とカンボジアにおいて多くの変化を生じ、自分もその変化の中に成長してきています。
このように元奨学生一人一人の成長を通じて、徐々に拡大していく学友会ができ、より充実になる同窓関係も作られると確信しています。